こんにちは、㈱MORE UP BOOST代表の中嶋です。
現在、約35万人の技能実習生が日本で働いています。しかし、この制度には問題も存在しています。以下では、技能実習生制度における問題と解決方法について詳しく解説していきます。
本記事の権威性
以前は、ハノイにある技能実習生送り出し機関で日本語教師として働いていました。現在は、法人様向けに技能実習生向け日本語教育「ミラツク日本語」を運営しています。私のベトナム人妻も技能実習生に関する仕事をしているため、ご質問やご相談があればお気軽にお問い合わせください。
技能実習制度とは?
一言で言うと「外国人に日本の技術・技能や知識を伝えて母国で活躍してもらう制度」です。しかし実際は「日本の人材不足を補う労働力」という認識になっており、日本が外国人労働者を受け入れるために「技能実習制度」という法的枠組みをつくりました。
技能実習制度の歴史や仕組み、特定技能との違いなど詳しく知りたい方は「【技能実習生とは?】制度や対象職種・受入れの方法や人数・問題点も解説!【丸ごと解説】」をチェックしてみてください。
技能実習生の国籍と在留年数
技能実習生はベトナム人が1番多い
法務省の『外国人技能実習制度について』によると、技能実習生全体(約32.8万人)のうち、ベトナム人は55.5%(約18万人)と1番多いです。
続いて、2番目にインドネシア人12.0%(約3.9万人)、3番目に中国人11.0%(3.6万人)、4番目にフィリピン人9.0%(約3万人)が並びます。
技能実習生の在留年数は最長5年
技能実習生は最長5年間日本で働くことができます。ただし、実技試験や日本語の学科試験に何度も不合格になったりすると早期帰国になってしまうケースもあります。
期間の延長もできますが、技能実習生制度に参加している企業や団体の申請が必要であり、厳しい審査が行われます。さらに、延長期間中には、日本語能力の向上や技能の習得など、一定の条件を満たす必要があります。
ただ上手くいけば特定技能として5年延長できるので、合計10年間日本で働くことができます。
詳しくは「【技能実習生とは?】制度や対象職種・受入れの方法や人数・問題点も解説!【丸ごと解説】」をチェックしてみてください。
技能実習生の問題・課題とは?
ここでは、送り出し機関、監理団体、技能実習生、受入れ企業の4方面から技能実習生問題を紹介していきます。
【技能実習生問題】送り出し機関の課題【3つ】
送り出し機関は下記のことを行います。
・日本に出国する前の研修(主に日本語)を実施する。
・実習生の出国の手続きを行う。
【問題①】適格な技能実習生の選定が難しい
送り出し機関は、技能実習生として日本に派遣する人材を選定する際に、実力や能力だけでなく、人物判断や日本社会に適応できるかどうかなどの判断も必要です。しかしながら、これらの判断には限界があり、実際に技能実習生として日本に来てから、問題が発生する場合もあります。
【問題②】適切な日本語教育・訓練ができていない
送り出し機関は、適切な日本語教育や技能習得のための訓練を実施していない場合があります。その結果、技能実習生が日本での生活に馴染めず、精神的な苦痛を抱えたり、違法労働に従事させられるなどの問題が発生することがあります。
【問題③】技能実習生から搾取する悪質な業者がいる
技能実習生が送り出し機関に払う金額の上限は国ごとに決まっています。例えば、ミャンマーの上限は2800ドル、ベトナムの上限は3600ドルです。しかし技能実習生送り出し機関の中には、法外な料金を技能実習生に請求するところも少なくありません。例えば、教育費用や手続き費用など別の項目をつくり上限費用以上を徴収するなどです。
【技能実習生問題】監理団体の課題【2つ】
監理団体は下記のことを行います。
・企業の依頼を受け、技能実習生の募集・受入れまでの手続き・現地での面接を行う。
・受け入れ後も、受入れ企業が適正な技能実習を行っているか監査と指導を行う。
【問題①】監督機能の不十分
技能実習生が違法労働や労働条件の違反などの問題に直面した場合、監理団体が適切な支援を行っていないことがあります。また、監理団体が違反行為を把握していながら、放置したり、報告しなかったりすることがあるとされています。
【問題②】利益相反の問題
監理団体が技能実習生を送り出す側と同じ企業グループや団体に属する場合、利益相反の問題が生じることがあります。この場合、技能実習生の利益が犠牲になる可能性があるため、監理団体の中立性が求められます。
【技能実習生問題】受入れ企業の課題【5つ】
【問題①】違法労働や労働条件の違反
技能実習生を適切に指導・監督せず、違法労働や労働条件の違反を行っている企業があることが報告されています。例えば、法定労働時間を超過させる、最低賃金を下回る賃金を支払うなどが挙げられます。
【問題②】生活環境の問題
技能実習生が適切な生活環境を確保できていない場合があります。例えば、宿舎が過密状態である、清潔さに欠ける、十分な食事が提供されていないなどが挙げられます。
【問題③】日本語教育が不足している
技能実習生に日本語学習の機会を提供できていない場合があります。これにより、労働現場での指示の理解や、生活環境でのコミュニケーションが困難になることがあります。
【問題④】技能習得が不十分
技能実習生が適切な技能習得を行えていない場合があります。これは、適切な指導が行われていないため、技能実習生の将来のキャリア形成に影響を与える可能性があるとされています。
【問題⑤】企業が技能実習生を出稼ぎ労働者と捉えがち
企業は技能実習生を出稼ぎ労働者と捉えがちですが、その考えはもったいないと思います。実習生を出稼ぎ労働者と捉えてしまえば、単純労働や雑務だけを任せきりになり、実習生のマンネリ化につながる可能性があるからです。逆に、1期生にしっかり業務を覚えさせることができれば、2期生以降の後輩に対して業務を教えてくれるので企業にとってもメリットがあります。そして、良好な関係が築けていれば母国で事業展開をした際に支店長や現地法人の社長として務めてくれる可能性もあります。
【技能実習生問題】技能実習生の課題【3つ】
【問題①】SNSの普及による誘惑
SNSには技能実習生のコミュニティが存在し、そこでは給与や待遇について情報交換がされています。また受け入れ企業に不満を持つ実習生に対して「失踪すれば給与が高い場所を紹介するよ!」と失踪を勧めてくる人も少なからずいます。またお金を稼ぐことに意欲的な実習生は、SNSを通して在日外国人の反社やマフィアからギャンブルに誘われることもあります。最初はわざと実習生に勝たせておいて、大金をかけた時に負けさせ借金を負わせる事件も発生しています。
【問題②】日本語があまり話せない実習生が多い
受入れ企業や実習生関連の業務をしている方の話を聞くと、技能実習生の約70%が日本語をあまり話せないようです。簡単な会話もスムーズにできません。このことにより「実習生に仕事を教えたいけど伝わっていない..」や「実習生が何を考えているか分からないから距離を置いてしまう..」といった受入れ企業と実習生の間のコミュニケーション不足が起きているところが多いです。その結果、受入れ企業は実習生にパワハラや冷たい態度を取ったり、実習生は不満が出て最悪失踪することなど、コミュニケーション不足から大きな問題に走ることもあります。そのため実習生があまり日本語が話せないなら、日本語レッスンを受けれるよう手配してあげることが大事だと思います。地域のボランティアが教えてくれる学校から、今ではオンラインの日本語教室もあります。
【問題③】転職ができない
技能実習生は転職が認められていません。技能実習生として日本で働く場合は、実習先の企業で3年間働く条件で「技能実習ビザ」を発給してもらえるので、その条件は絶対守らなければならないからです。そのため実習生が「この会社でこれ以上働きたくない!」と思ったら帰国するしか選択肢がないのです。その結果「日本で働き続けたいけど今の会社は嫌だ..」と感じる実習生が失踪を選んでしまうのです。また、実習生が転職できないことを良いことに、受入企業が最低賃金以下の給料を払ったりパワハラをするなどのケースもあります。
ただし下記の条件であれば実習生は転職できます。
・受入企業の技能実習の継続が困難になった場合、同一業種の他の企業に転籍が可能
【まとめ】技能実習生問題の解決に向けてできること
送り出し機関の課題
②適切な日本語教育・訓練ができていない
③技能実習生から搾取する悪質な業者がいる
監理団体の課題
②利益相反の問題
受入企業の課題
②生活環境の問題
③日本語教育が不足している
④技能習得が不十分
⑤企業が技能実習生を出稼ぎ労働者と捉えがち
技能実習生の課題
②日本語があまり話せない実習生が多い
③転職ができない
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